July 08, 2009

シネマ歌舞伎『牡丹亭』

2009年7月7日(火)


 「 言葉の問題は乗り越えられません。

   言葉の問題じゃなくて、

   その役の問題。

   そこでしか

   乗り越えられないと

   僕は思いました。 」


 そうなんです。今日、観てきました。


 シネマ歌舞伎 『 牡丹亭 』


 坂東玉三郎さんがことし3月、蘇州昆劇院と共に演じた昆劇 『 牡丹亭 』 の、制作ドキュメンタリーと舞台編。

 ※昆劇について等は、上記のサイト(松竹さんのページ)をご覧ください

 冒頭の引用は、制作ドキュメンタリーの中での、玉三郎さんのお言葉です。

 ああ、そうか。そうなんだ、と ・・・ 映画館の椅子の上で震えました。

 伝えるために、努力して努力して努力して、言葉を学んで努力して、そしてその圧倒的な努力の末に、最後はやはり、伝えたいことの本質が大切なんですね。

 そしてもうひとつ、驚いたこと。玉三郎さんは惜しげもなく、自らの芸を中国の劇団員たちに与えていました。自分が昆劇を教わっているのだから、ということもあるのでしょうが、それにしても当日の演目に関係のないことまで、あふれんばかりの芸を、大陸の役者さんたちに手渡していたのです。

 それに引き換え自分は、与えられるモノもないのに出し惜しんでいやしないか。貪欲に吸収すること、そして自分に出来得る限りの恩返しをすること、もっと言えば、恩返しとして相手に残せるだけの何かを己の中にきちんと育てること。どれもこれも、異文化と向き合ううえでは当たり前のことのはずなのに、どうして忘れちゃっていたんだろう。

 そんなことを自問自答しながら、それより何より玉三郎さんの美しさに久々にボーッとなって、帰りの日比谷線に揺られていました。

 コチカゾウの幼稚園のお迎え、時間ギリギリで猛然ダッシュだったけれど、でも観に行ってよかった。本当によかった。

 玉三郎さん、ありがとう。ありがとう。謝謝、謝謝。非常感謝。


追記 : 昆劇 『 牡丹亭 』 も、もちろん素敵でした♪ 昆劇のことは分かりませんが、でもカップルの初々しさや艶っぽさは、仁左衛門さん&玉三郎さんの歌舞伎の舞台に、ちかぞうとしては軍配を上げちゃうかな~。いや仁左衛門丈はちかぞうの中では神様みたいな人なので、神様と比べられちゃ相手役の俳優さんもかわいそうなのですが。でも一見ならず二度見、三度見の価値アリだと思います。ぜひ蘇州で、本場で観てみたいものです。いつかきっと~ッ!

追記 : ドキュメンタリー中、南京大学での講演のシーンで、映画 『 覇王別姫 さらば、わが愛 』 と主演のレスリー・チャンの話が出てきます。こりゃファンにはたまらんです。もしまだ観ていない方がいらっしゃったら、レスリーの女形を観てから 『 牡丹亭 』 のドキュメンタリーを観ることをオススメします。

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August 22, 2004

八月納涼歌舞伎(第一部)

2004年8月22日(日)


 八月納涼歌舞伎の第一部、行ってまいりました!

 染五郎サマ、カッコよすぎ。

 勘太郎クン、芸のぐいぐい伸びる音が聞こえるよぅ。

 染五郎サマは、やっぱりマイクなしの舞台が似合いますね。劇団☆新感線の 『 阿修羅城の瞳 』 は、音響のせいもあってか声がくぐもっちゃってハッキリ言ってつまらなかったもの ( まともに聞き取れたのは宝塚出身の女優さんと夏木マリさんくらいでしたよ ・・・ ううーん、実力の差? ) 。お父さまと一緒の 『 アマデウス 』 や歌舞伎なら、麗しき声がストレートに届いてくれてホラ、鼓膜も喜んでぶるぶる震えてくれるのです。

 勘太郎クンは、大河ドラマ 『 新撰組! 』 でもご活躍中! ( とはいえ、なんといっても山南敬助役の堺雅人さんが群を抜いてますが。辻仁成原作の 『 嫉妬の香り 』 でへぼへぼ男を演っていたのが嘘みたいだ ・・・ 役者って凄い! あっ、話がそれちゃった ) そんなこともあって本当に久々に彼の歌舞伎を観ましたが、膝が成長痛にならないか心配になるほど、板の上の彼は大きくなってました。勢いのある役者って、いいですねえ。

 とにかく第一部は、彼らふたりの輝きに負けた! くらくらっ!

 どうにかして、第二部 & 第三部も千秋楽までに観てきます。がんばっちゃお。

観劇追メモ:

★ 『 元禄忠臣蔵 』 御浜御殿綱豊卿

 徳川綱豊卿 ( 市川染五郎サマ ) と赤穂の浪人 ・ 富森助右衛門 ( 中村勘太郎クン ) の 「 敷居を越えるか? 」 「 越えませぬっ 」 の掛け合いが実に魅せる! 第二幕第三場 「 忘れるな、そちは我に悪口を吐いたぞえ、ふわっはっはっは ( ← 記憶曖昧 ) 」 で着物の裾をヒラリッ! そして同第四場では能舞台へ向けて静かに去ってゆく ・・・ 染五郎サマの引っ込みはどちらの場でもサイコーッ! 三十路にして背中で魅せる俳優さんに、彼はなっちゃったんですねえ。

★ 『 蜘蛛の拍子舞 』 花山院空御所の場

 納涼らしい怪談モノ。蜘蛛のお化けのぶっかえりと、吹き出す糸に客席はやんややんやの大喝采! 踊り達者をそろえた豪華俳優陣 ( 勘九郎、福助、三津五郎、弥十郎、高麗蔵、橋之助 ・・・ ) にはナンともはや、うっとりでした。勘九郎ちゃん一座 ( ? ) らしくアドリブもありまくり、どうしてあんなに茶目っ気たっぷりの芝居ができるのか、考えたりする間もなく大口を開けて笑ったり 「 おおーっ 」 と唸ってしまったり。びば、びば、中村勘九郎コンツェルン!? びば! びば!

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July 24, 2004

7月歌舞伎鑑賞教室

2004年7月24日(土)


 今月も観て参りました、歌舞伎鑑賞教室。

 「 親子で楽しむ歌舞伎教室 」 と銘打っているだけあり、チビッコが多かったですねえ。でもみんな、静かなところでは静かに、笑うところではガッツリ笑っていましたよ。かえって親の世代の方がコックリコックリしていたような ・・・ これからもこんなイベントをじゃんじゃんやっていただきたいものです。それで交換日記の好きなタレント、の欄とかに 「 片岡愛之助丈 」 なんて書いて欲しい、ぜひ。間違っても好きな女性タレントの欄に 「 中村玉三郎さん 」 とかは書かないで欲しいけれど。でも間違えると思うなあ。おとなでだって、タイのニューハーフショー観て 「 あの彼女だけは違うッ 」 って言い張ってやっぱり勘違いで泣いた人知ってるもの。おっと話がそれてしまった。そのくらい、愛之助サマはカッコよかった。ははは、支離滅裂。

 嗚呼、片岡愛之助サマ ・・・ このたび実感致しました。

 あの人、すげーカッコいい。かっちょぼい。

 ステージの上では、サエナイ男なんですよ、そりゃもう役柄どおり。
 でもプログラムの写真見てビックリ! はちゃめちゃにとろけます。

 ペさまスマイルもいいけど一度、愛さまスマイルを拝見なさい。
 ソウルより、大阪行きたくなるから。

 愛之助サマ、お誕生日3月4日なんですって。
 なんと、ちかぞうと同じ日。

 ハッ! コレは、運命?

 やっぱり、役者さんが子どもと親しく触れ合うことで、歌舞伎への親近感は湧くと思います。ステージのあと大変かとは思いますが、役者さんがロビーあたりに出てきてくれたら素敵。握手とかしちゃって、歌舞伎っぽく 「 かたじけのう 」 なんておしゃべりしたりしちゃって。もちろん衣装のこと、その他もろもろリスクは伴いますが、国立劇場さん御一考いただければ幸いです。そうしたら子ども作ってでも伺います。誰ですか、最大のリスクはお前だなんて言っているのは?

 愛之助サマ、描いてみました。フウ。


20040724.JPG


 ああーん、ダイスキかも。


追メモ:

 ところで今回の出し物は 『 傾城反魂香 』 。あらすじは先月19日付コラムをご参照くださいませ。ちなみに浮き出る又平さんは、少なくとも歌舞伎座よりカッコよかったですよ。けれども絵としては歌舞伎座のモノの方がはっきりと見やすかった。舞台美術というのは難しいんだなあ、とつくづく思いましたです。それにしてもアレ、どんな仕組みになっているんでしょうねえ。どうせならそんなネタも、子どもたちに見せてあげたら喜ぶのにな。ちなみに前半の 「 解説 歌舞伎のみかた 」 は音楽についてでした。スクリーンも使ってなかなかわかりやすかったです。

追メモ:

 愛之助サマのことを調べていたら、義理のお父上にあたる片岡秀太郎丈がホームページでこんな素敵なことをおっしゃっていたのでご紹介致したく。

( 「 秀太郎歌舞伎話 」 2003年4月、松本幸四郎丈の新作 「 夢の仲蔵千本桜 」 への出演を前にして。 AINOSUKE.COM より )

 今回は高麗屋さんのお芝居ということですが、今はコクーン歌舞伎や中村座のような中村屋さんのお芝居、スーパー歌舞伎のような澤瀉屋さんのお芝居、それに僕の平成若衆歌舞伎といったようにあちこちでいろいろと新しい挑戦が行われていて、それでいて皆が集まったときにはきちんと古典をご覧いただけるようになっています。そういう意味では、今非常に歌舞伎が面白い時期だと思います。僕自身、今回は高麗屋さんの歌舞伎を楽しみながら、そして勉強しながら参加させていただいています。歌舞伎は娯楽ですし、好き嫌いの世界ですから観客の皆様にも新しいものから古典までいろいろな歌舞伎を観ていただきたいと思います。僕はそういうお客様に歌舞伎の匂いを感じていただながら新鮮なお芝居というのをお届けしたいと思っています。

 この前、平成中村座NY公演 『 夏祭浪花鑑 』 のエンディングでNY市警が登場したニュースについて ( 東京のコクーン歌舞伎では警視庁のパトカーでした ) 、友人 & だーりんと 「 あれはやりすぎだ 」 「 そんなことない 」 なんていって散々にやり合いましたが、ちかぞうの言いたかったのはコレなんです。

 「 歌舞伎は娯楽ですし、好き嫌いの世界ですから観客の皆様にも新しいものから古典までいろいろな歌舞伎を観ていただきたい 」

 確かに最初に平成中村座を観ちゃったら、ほかの古典を観たときに 「 エッ? 」 と思うかもしれない。でもガッカリする人もいれば、さらにのめりこむ人もいると思う。歌舞伎というのはもしかしたら、ジャンルの名前なんです。いうなればコーヒーカップからスプラッシュマウンテンまでそろった遊園地、なんだと思うのだけれどどうかしらん。

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July 19, 2004

パリへ、ぱりへ、巴里へ。

2004年7月19日(月)


 今日は海の日でお稽古もお休み。

 ラジオをつけたら、こんな番組がやってました。

 J-WAVE HOLIDAY SPECIAL ANA HOLIDAY AIR CURRENT

 葉加瀬太郎さんがパリに辻仁成を訪ねる、なんて企画モノ。葉加瀬さんがパーソナリティのはずなのに、ほとんど仁成がしゃべってばっかりだったのが、あまりにも 「 らしくて 」 可笑しかったなあ。

 ところでライターになってからこっち、ちかぞうがずーっと言い続けていることがあります。

「 辻さんに会いたい 」

 言っていればいつか叶うかな、と思っているけれど未だ叶わず。

 でもちょっと前に、葉加瀬太郎さんにはほんの15分くらいインタビューをしたことがあります。握手してもらって、写真も一緒に撮っちゃった :) 。葉加瀬さんまでくれば、辻とまでだってすぐすぐ。もうニアミス、ニアミス。あまりにも感激して仕事にならない? ううーん、それはやや不安ではありますが。

 有言実行、それが俺のモットー。だから女はやめられない。

 いつか、辻仁成と対談します。

 その日を夢見て、今日もこの道のうえで。

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July 02, 2004

五月大歌舞伎

2004年7月2日(金)


 今更の感もありますが ・・・ 明日からの大阪松竹座公演を前に記録しておきたい 「 市川海老蔵サマ襲名披露 」 。ほとんど自分の備忘録の感アリアリなので、書きたい出し物についてのみ徒然にしたためることに致しマス。

昼の部: 5月11日 ( 火 )

 カラダが緑色になるかと思うほど 「 お~いお茶 」 を飲みまくり、やっと手にした伊藤園貸切公演のご招待。昼の部の筋書に、お弁当に伊藤園のブリックパック、おみやげには新茶に記念ハンカチが2枚つく大盤振る舞いっぷりにただただ驚かされました。歌舞伎っていうのはスポンサーとの関係が大事なんですねえ、としみじみ。

 『 暫 ( しばらく ) 』

 誰がなんと言おうと、お父さんの権五郎 ( 『 暫 』 の主役 ) の方がよかった。当たり前といえば当たり前かもしれませんが、キレや迫力が全然違う。声や台詞回しは 「 うっわー、お父さんにソックリ! 」 と思うのだけれど 「 似て非なるモノ 」 というのはこういうことを言うんだなあ、と。なんて素人の見当違いかしら。
 歌舞伎の楽しみに、育ってゆく役者さんをホクホクして観る、というのがあると思うんですね。たとえば彼が人間国宝にでもなったときに 「 海老サマ襲名の舞台を、あたしゃ観たんだよぉ 」 といえるスノッブな喜びも。その意味では今回の物足りなさも、将来うーんと大きくなって返ってくるんだろうなあ。嗚呼、その日が待ち遠しい。
( そういえば、とある歌舞伎通の方がこんなことをおっしゃっていました。 「 どうせ観るなら、上手が演じる気のない芝居より、下手でも一所懸命やっている芝居を観たい 」 。それも一理あるなあ、と思わせてくれるのが歌舞伎なのかも。将来的に同じ演目をする機会を与えられる可能性がとっても高い歌舞伎なら、いま眼前で汗をかいている役者さんの努力がいつか実を結ぶのだろうなあってかなりストレートに思えるから )
 結論 ( ? ) 。歌舞伎ファンなら、海老サマの権五郎は絶対お得だけれど、海外からやってきたオトモダチや歌舞伎観劇デビューのヒトに見せるなら、団十郎丈の 『 暫 』 を見せてあげたいデス。
 ちなみに一緒にいった 『 暫 』 初見のだーりんは 「 よかったよかった 」 といってました。うん、ほんとよかったんだけど、でもやっぱり夏雄おぢさん ( = 団十郎丈 ) の方が百倍いいよ。

追メモ: イヤホンガイドによると鎌倉権五郎というヒトは実在したのだそうで、やっぱり激強の武者として知られていたとか。ある日、目に矢を受けた権五郎。矢は深く突き刺さり、いくら抜こうとしてもビクともしません。見かねた仲間が仰向けに倒れた権五郎の顔に足をかけ、その矢を引き抜こうとしたところ、権五郎は 「 武士のアタマに足をかけるとは何事か! 」 と怒ってその仲間を切り殺してしまった、と ・・・ 『 暫 』 では正義の味方だけれど、ちっともいいヤツぢゃない、いやむしろイヤな奴だと思うのはわたしだけでしょうか。

 その他:
 『 四季三番叟 ( しきさんばそう ) 』
 『 紅葉狩 ( もみじがり ) 』
 『 伊勢音頭恋寝刃 ( いせおんどこいのねたば ) 』

夜の部: 5月26日(火)千秋楽

 千秋楽ということもあり、2時間近く前から一幕見席に並びました。某歌舞伎役者さんのご近所というマダムが後ろに並んでいらっしゃって ( いつもは1階席でがぶりつき観劇らしいのだけれど、その日はたまたま時間ができたので観に来た、ということらしい ) いろいろと裏話を聞き込んでしまいました。これだから幕見並びはやめられません。歌右衛門丈のファンだったというマダムは、わたしが歌右衛門丈の芝居を観たことがないと言うと目に涙をためるように残念がってくれました。また歌舞伎にゆくときはお洒落をした方がいいと諭されました。その方が役者さんも気合が入るのだそうです。なるほど、それもごもっとも。

 『 勧進帳 ( かんじんちょう ) 』

 海老サマの富樫は、骨抜きになるくらいカッコよかった。涼しげで、理知的で。ただ少し台詞が聞き取りづらかったのが残念。また団十郎丈の代役に立った三津五郎丈の弁慶が、富樫より小さく見えてしまったのがやや迫力不足だったかしら。とはいえ物語の最後、手拍子に乗っての飛び六方の引っ込みは千秋楽 & 代役を勤め上げたこともあり、最高のノリでした! 突然の代役もパッとこなせる芸の厚み、その裏にある努力を考えると気が遠くなる思いです。

 大阪公演では海老サマが弁慶、そして富樫が仁左衛門丈。まったく鼻血が出そうな配役であります ・・・ きゃあ。

 その他:
 『 碁太平記白石噺 ( ごたいへいきしらいしばなし ) 』
 『 口上 ( こうじょう ) 』
 『 魚屋宗五郎 ( さかなやそうごろう ) 』

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July 01, 2004

身も心も、辻仁成。

2004年7月1日(木)


 夏に向けて、久々にパーマをかけてみました。


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「 ちょっとフェミニンになったかしら? 」


 と、大得意で家族にイメチェンを報告したちかぞう。

 姉曰く。

「 アレ? 写真持っていったの? 」

 え、誰の写真?

「 ほらぁ、このあいだ送ってあげた写真だよ 」 


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2004年4月7日(水) 朝日新聞 ( 夕刊 ) より


 ひ、ひどい ・・・ ひどすぎる。

 でも、似てるかも。ええーん。

 辻さん、12歳のときからファンでした。
 うれしいよ、憧れの人に似てるって言われて。

 身も心も、辻仁成。

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June 22, 2004

6月歌舞伎鑑賞教室

2004年6月22日(火)


 オモシロカッタです。ことしの 「 6月歌舞伎鑑賞教室 」 

 女形の娘歩きが、どうして腕を胸の前で交差させるか知ってます?
 やってみるとわかるんですが、肩がなで肩にみえるんですよ。
 それに、腕との対比でかしら。すごく華奢にみえる。

 こりゃ水泳肩ハト胸のちかぞうも、応用の価値アリですわよ。

 そんな実生活に役立つ知識も教えてもらえる。
 いや~あッ素晴らしいなあ、歌舞伎教室。

 なんて前置きはともかく。

 誰がなんと言おうと ・・・

 圧巻は 「 解説 歌舞伎のみかた 」 のあとに上演された

 『 鳴神 』 

 でしたでしょ。うん。

 この演目を、天下の国立劇場の歌舞伎鑑賞教室にもってきたプロデューサー ( ? ) の力量はすごい!

 とにかく、エロいんですよ。

 徹頭徹尾、エロエロ。

 こりゃ遠足なんぞでやってきた僕チャンたちは喜びマスよぉ。
 中学生なんて、絶対マネすると思いマース。

 物語の細かいコトはともかく、エラ~イお坊さんの鳴神さんがキレイなオネーチャン・雲の絶間姫 ( くものたえまのひめ ) の胸元に手を突っ込んで、鼻息荒げて大興奮しちゃうんだから。

 カレったら、フウフウあえぎながら、

「 やわらかくて、こう、取っ手のついているモノが ・・・ 」

 とか言っちゃう。もう、その手つきも、どうしようもなくやらしい。

 それにヤツを陥す気満々のオネーチャン、うぶな男を弄ぶように、

「 それは乳ぞえ 」

 ときたもんだあ。

「 それは乳ぞえ 」
「 それは乳ぞえ 」
「 それは乳ぞえ 」

 だっひゃー、もう鳴神クンはダメだね。あっけなく陥されちゃう。

 そのうえ、ちょっとオネーチャンの気に沿わないことをしちゃうと、

「 つねるぞえ 」

 とか睨まれて、めろめろ。

 オネーチャンとエッチしたくてしたくて、勢い込んで自分の庵に連れ込んだもののお酒の飲みすぎでグウグウ寝ちゃって ( もちろんこのお酒も雲の絶間姫が飲ませた ) そのあいだに結局逃げられちゃうあたりも、バカ丸出し。弟子たちにもバレちゃって、もうアホアホ。

 たまにすっごーいエライおやぢとかが出会い系とかで知り合った女の子にガンガン貢いで、シャワー浴びてるあいだにトンズラされて、挙句の果てに警察に捕まって社会的地位もサヨウナラ ・・・ なんてニュースがあるけれども、あんな感じの情けなさ。

 いくら古典でも、こんな演目を中高生に見せていいのか?

 イヤ、いいよねえ :) 。

 そしてピチピチの生徒諸君、無理やり18禁の映画館へゆくのなら、ぜひとも歌舞伎へ足を運んでくれたまえ。
 歌舞伎の世界には、R指定もナニもないぞえ。ウフ。

 今月 『 古典芸能に親しむ 』 なんておチャメなお題で国立劇場を訪れた中学校、高校の先生方が、どうやって 「 うひょうひょ 」 いった生徒たちの気を鎮めたのか、それが知りたい。

 来月もいっちゃうぞ、歌舞伎鑑賞教室。

 あ、来月は 『 傾城反魂香 ( けいせいはんごんこう ) 』 だ!
 又平さんがどんな顔で浮かび上がってくるかが、見もの見もの ( 詳しくは19日のコラムをご参照あれ ) 。

観劇追メモ1:
 ちなみに 『 鳴神 』 とは ・・・ 朝廷に約束を破られた鳴神上人が、神通力で竜神たちを滝つぼに閉じ込めちゃったことに端を発する物語デス。竜神は雨をつかさどる神のため、日照り続きで人々は大弱り。そこで絶世の美女・雲の絶間姫に 「 鳴神陥し 」 の勅命が下ったというワケでした。だまされたとわかって怒り狂う鳴神も一見といわず多見 ( ? ) の価値ありです。
 色事アリ、力技アリ。スケベがかわいい橋之助丈、町屋のおかみさんのような雰囲気が姫っぽくはないものの、キュートにいぢける扇雀嬢。配役もよかったよかった。
 それにしても色仕掛けで法力を破るくらいなら約束を守ってやれよ、朝廷。鳴神のおかげで皇太子が生まれたんだし、デラックスな戒壇でもナンでもばばーんっと建ててあげればいいのにね。

観劇追メモ2:
 千秋楽ギリギリに駆け込んだ国立劇場 「 6月歌舞伎鑑賞教室 」 でしたが、歌舞伎についてイロイロ教えてもらえて、第一線の役者さんのステージも拝めて、二等席なら1500円 ( パンフレット付 ) って知ってました? それも国立劇場、二等席の2階席や3階席でも、花道の七三 ( 役者さんがポーズを決めたり、お化けがスッポンという仕掛けからヒュードロドロっと出てきたりするところデス ) がばっちり見える。歌舞伎座は雰囲気は最高ですが、安い席では花道が絶望的なのを考えると、もしかするとこりゃ歌舞伎座の一幕見席よりお得かもしれません。
 ( 歌舞伎座の一幕見席については、拙著 ( 共著 )  『 一日3000円の東京満喫プラン 』 の 「 銀ブラのススメ。歌舞伎のススメ。 」 をご覧くださいマセ )

オマケ:
 観劇しながら、怒髪天の鳴神サンの隈取をポストイットにスケッチ!
 橋之助丈のファンが見たら、それこそ怒髪天をつく、でしょうな。
 嗚呼、御免なすって!


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「 雲の絶間姫ぇぇぇっ、ぐはっぐはっ 」

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June 19, 2004

六月大歌舞伎(夜の部)Ⅲ

2004年6月19日(土)


 歌舞伎ネタ5連チャン :) 。

 どうしてこんなコトになっているかといえば、来週火曜日 ( 22日 ) に国立劇場の 『 六月歌舞伎鑑賞教室 』 にゆくことが決まったので。観たモノは早く記録しておかないと、シナプスがぐちゃぐちゃになってしまうものですから。

 本日は、あのシッブーい吉右衛門さんが主役を演じた  『 傾城反魂香 ( けいせいはんごんこう ) 将監閑居の場 』 をおひとつ。 

 あらすじは、といえば。

 絵師・土佐将監の一番弟子・又平 ( 吉右衛門 ) は土産物の絵を売るしがない絵描き。吃音のため自分の思いもうまく伝えることができず、活躍めざましい弟弟子に先に 「 土佐 」 の苗字を名乗られてしまいます。苗字を名乗る許しが出ること = 師匠に認められること。自らのふがいなさを嘆いて自害を決めた又平とその妻・おとくでしたが、今生の名残にと庭の手水鉢に描いた自画像がアラアラ不思議。一尺あまりの石を抜け、裏側にまでその絵姿が現れるではありませんか。それを見ていた将監は又平を師を超えるすぐれた画工と褒めちぎり、苗字と裃、大小を与えて大団円となったのでありました。

 とまあものすごいダイジェストにしちゃいましたが、このお話、みどころはたくさんあります。又平とおとくのおしどり夫婦ぶりとか。コミカルだけれど哀愁のこもった又平の演技とか。いろいろ、いろいろ。

 でも今回、ちかぞうがやられちゃったのは ・・・ 


20040619.JPG


 ・・・ 又平さんです。

 そう、手水鉢の一尺余りの石を突き抜けて浮かび上がった、あの又平さんです。

 歌舞伎の舞台装置っていつも感心しちゃうのですが、又平が手水鉢の向こう側にせっせと絵を描くでしょう? そうすると反対側、つまり手水鉢の客席に向いている面に 「 じわわわわーっ 」 と絵がにじみ出てくるのです。最初は薄墨で描いたように、そしてだんだん黒く濃く。どんな仕組みなのかが気になるところですが、そのリアルっぷりったらディズニーもハリウッドも真っ青だと思いマース。

 で、又平さん

 ホラ客席から見ると、そんなワケで着物の合わせも左右が逆になっているでしょう?

 こってますよね?

 んね?

・・・

・・・ でもイヤほんとに、こんな絵だったんですってば!

・・・ そりゃ記憶で描いてますから、多少は違うと思いますけど!

・・・・・・

・・・・・・ 目なんて、ギリシャ数字の1みたいだったんですから!

 あれだけリアリスティックな仕掛けを追求しておきながら、歌舞伎座の大道具さん。この絵に関してはデフォルメしまくり。鬼平ならぬ又平・吉右衛門さんとは、似ても似つかぬメルヘン顔でした。

 筋書 ( プログラム ) の解説によれば 「 精魂を込めた又平の筆勢に天の加護もあってか 」 とのことですが ・・・ 

 力いっぱい 「 なごみ系 」 じゃん。

 嗚呼、もう可愛すぎる :) 。

 次にまた 『 傾城反魂香 』 がかかるのが、めちゃくちゃに楽しみデス。

 ほんとにいっつも、あんなキュートなのかなあ。

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June 18, 2004

六月大歌舞伎(昼の部)Ⅲ

2004年6月18日(金)


 さらに歌舞伎の話が続きます。

 今日は、6月8日(火)に観た 『 菅原伝授手習鑑 ( すがわらでんじゅてならいかがみ ) 寺子屋 』 と絡めつつ、ちかぞうの 「 歌舞伎のススメ 」 にも筆を伸ばしてみようかな、なんて。

 『 菅原伝授手習鑑 』 は藤原時平の讒言によって大宰府に流された菅原道真公と、それにまつわる人々のストーリーです。

 そのなかの一場面 『 寺子屋 』 は、道真公のひとり息子・菅秀才をかくまっていた忠臣・武部源蔵が、時平勢力から菅秀才のクビを出すように命じられたことから物語がはじまります。源蔵夫婦に菅秀才を切れるわけもなく、かといってふたりには身代わりにできる子もありません。結局、自分たちで開いていた寺子屋にその日入ったばかりの小太郎のクビを差し出し、なんとかその場を乗り切ります。

 しかし不思議なのは、時平方の使いとして首実検に訪れた松王丸というお人。彼は菅秀才の顔をよく知っているのです。だからこそ首をあらためる大役を仰せつかったハズなのに、いとも簡単にコロッとだまされてくれる。実は身代わり首となった小太郎は、松王丸のひとり息子だったのです。松王丸はいまでこそ敵方・時平側の人間になっていますが、道真公には多大なる恩があり、その恩を返すために自分の息子を源蔵夫婦に預けたのでした。

 これだけ見ると 「 うっわー、暗い話 」 と思うでしょ。

 イヤ実際、すっごーい暗い話だと思うのですが、小太郎を殺すことを決した源蔵の名台詞、

「 せまじきものは、宮仕えかな 」

 をはじめ 「 そこまでするかぁ? 」 と思いつつ、恐ろしくも 

「 気持ち、ちょっとわかるかも 」

 な展開が 『 寺子屋 』 人気の秘密なんだと思いマス。

 さて、そんな大どんでん返しをみせてくれる 『 菅原伝授手習鑑 寺子屋 』 でしたが。

 歌舞伎について、

「 しゃべっているコトバが全然わかんないから、や 」 

 という声をよく耳にします。実は観てみると、演目によっては案外わかるものなのですが、それでも現代劇のようにはいきません。

 いいんです、わからなくて :) 

 だから、歌舞伎を観る前にちょっと 「 カンニング 」 をしておく。

 たとえば、くだんの 『 寺子屋 』 なら ・・・ 

 松王丸夫婦は最初から小太郎が生け贄になるのを承知で愛息子を寺入りさせた、とか。

 歌舞伎で登場する首実検のクビは 『 寺子屋 』 に限らず大概がニセ首なんだ、とか。

 松王丸は息子の首を前にして 「 菅秀才の首に相違ない 」 と言ってのけているんだ、とか。

 ・・・ そんなコトを、あらかじめ押さえておくんです。

 そうすると、見えなかった心の世界が見えてきます。小太郎の母・千代の後ろ髪を引かれるような別れ際から、松王丸の咳き込む姿まで、万感の想いがビンビン伝わってくる、伝わってくる。これはもうコトバじゃありません。たとえ古典的な言い回しが100%聞き取れたとしても、そんな人は種明かしのシーンになってやっと 「 え? そういうことだったの? 」 と気づくだけです。

 歌舞伎の、現代劇とは異なる魅力はココにある、とちかぞうは思います。

 結末はわかっているんだけれどジリジリしたり、

「 嗚呼、人ってこーゆー風に動いちゃうんだよねえ。ハア 」

 とため息をついたり、涙したり。

 西洋の古典に例えを求めるなら 「 ジュリエットは眠ってるだけなのに、ああーっロミオが死んじゃうっ! バカバカッ 」 なんてところでしょうか。もっと身近に推理モノなら 『 シャーロックホームズ 』 より 『 刑事コロンボ 』 的な愉しみ方、とでも申しましょうか。

 そう考えると、歌舞伎独特のタメのようなものも 「 おおっタメとる、タメとる 」 と思えるようになるから不思議なのデス。

 歌舞伎のカンニングなんて、劇場のホームページやチラシで十分! あとはイヤホンガイドを借りて、お財布に余裕があったら筋書 ( プログラム ) を買っちゃえば、まさに 「 鬼に金棒 」 です。

 歌舞伎に足を運ぶたび、その布教活動への決意を新たにするちかぞうデス。だって絶対、オモシロイんだもん。

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June 17, 2004

六月大歌舞伎(夜の部)Ⅱ

2004年6月17日(木) 


 歌舞伎の話が続きます。ほっておくと、忘却の彼方に旅立ってしまうから。

 今日はキツネの魔力のお話。 6月15日(火)に観た 『 義経千本桜 吉野山 』 デス。

 『 義経千本桜 吉野山 』 はその名からも明らかなとおり、源義経にまつわるストーリー。今回上演された 『 吉野山 』 は、頼朝に追われる恋人を吉野山まで追いかけてきた静御前と、そのお供・佐藤忠信のお話であります。

 歌舞伎ファンならご存じのことと思いますが、この忠信。実はキツネが化けてるんです。静御前は義経から形見の品として 「 初音の鼓 」 という鼓を与えられ、旅の途上でも肌身離さず持っているのですが、その鼓の皮として使われたキツネ夫妻の息子がこの化けキツネという次第。かといって静御前に恨みを抱くわけではなく、ただその鼓と離れがたくてついてくる。のちにわかるのですが、本物の忠信は里帰り中に病に倒れ、とてもじゃないけれど動ける状態ではないのです。そして空席となったボディガードのお役目を、この子キツネちゃんが実によく務めてくれるのであります。

 静御前に次々と襲ってくる魔の手も、不思議な力を駆使して撃退しちゃう子キツネちゃん。

 鎌倉方の逸見藤太と大勢の軍兵も、ひと睨みでこてんぱん!

 そのキツネっ子パワーに、ちかぞうも3階席から身を乗り出さんばかりになって、やんややんやの喝采を送ってしまったのでありました。

 さて大興奮のうちに幕が引かれて幕間になりました。

 ちかぞうも 「 サァお手洗い 」 と席を立ったんですね。

 そうしたら、なんか背中のあたりがもぞもぞするんですよ。

 「 ん? 」

 と思って手を後ろにまわしてみたら ・・・ ナニが起こっていたと思います?

 ブラの肩ヒモの前ホックがはずれて、背中にまわってブラ下がってたんですっ! それも先っぽなんてブラウスの裾からはみ出してブラブラ見えてるしっ!

 「 ぎゃあーっ! 」

 とお手洗いに駆けてゆきましたですよ。でも満員御礼の大盛況、平日ともなればお客さんのほとんどは女性ですからね。トイレの前は長蛇の列ですよ。不自然にジーンズのお尻のポッケに手を入れて、肩ヒモのしっぽを隠しましたですよ。

 子キツネちゃん、何しやがったんだあ ・・・ アタシの下着まで脱がせやがってからにィ :( 。

 狐忠信の尾上菊五郎丈!
 人間国宝って、こんなこともできるんですか?

 オンナに振られたくなければ、俺の名を手の平に3回書いて舐めろって助六さんは豪語してましたが、もしかすると狐忠信さんの方が ・・・ 一枚上手なのかもしれません。

 スワ、くわばらくわばら。

 同じく夜の部、 『 傾城反魂香 ( けいせいはんごんこう ) 将監閑居の場 』 についても書きたいことがあるのですけれど、それはまた日をあらためて。

観劇追メモ:
 今回の配役は佐藤忠信 実は源九郎狐が尾上菊五郎丈、静御前が尾上菊之助嬢の親子コンビ。逸見藤太は河原崎権十郎丈。鎌倉方の軍兵 ( 花四天 ) の皆々さまは、イケメン揃いで楽しめましたワ。うふ。

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June 16, 2004

俺に胸ポン!

2004年6月16日(水)


 本日は昨日の 「 歌舞伎座 ( 夜の部 ) 」 の番外編です。

 ちかぞうは小山観翁さんがダ~イスキ!

 小山観翁さん、というのは歌舞伎への造詣の深さたるや底なし沼なおじさまです。歌舞伎の同時解説・イヤホンガイドの大御所でもあります。語り口のやわらかさ、内容の面白さといったら、観翁さんの右に出るものはいないでしょう。

 そんな観翁さんが、今月もやってくれました。

 襲名のメインイベント 『 助六由縁江戸桜 ( すけろくゆかりのえどざくら ) 』 。解説はもちろん、我らが小山観翁さんであります! 

 ちかぞうの胸は、否が応にもドキドキワクワク高鳴ります!

 だって、眼前には海老蔵サマ
 耳元では小山観翁のおじさま!!

 もォ、老若からやられてる感じ!!!

 さて、ステージでは笑いアリ、涙アリの物語が進められてゆきます。

 血気盛んな息子を心配して吉原まで、その恋人の揚巻を訪ねてきた助六の母・曽我満江が、

「 それでは息子を頼みます 」

 と去ってゆくシーン。揚巻は 「 まかせておいてください 」 と胸に手をあてて見送るのですが。

 それでは、小山観翁さんの解説を聞いていただきましょう ( 記憶ママ ) 。


「 ここで揚巻はもう奥さん気取りで、胸に手をあてて 『 まかせてください 』 と請け負うわけです。あの胸に手をあてる所作、これは 『 わたしにまかせてください 』 という意味なんですね。いまでも粋な人などは 『 それは俺に胸ポンで 』 などといいますが、それと同じですね 」


「 それは俺に 『 胸ポン 』 で 」

「 それは俺に 『 胸ポン 』 で 」

「 それは俺に 『 胸ポン 』 で 」


 言う? 言いますか? コレってわたしが無粋なだけ?

 芝居がはねて、恐る恐るだーりんに聞いてみました ( その日も観劇の友はだーりんでした ) 。

ちかぞう: 「 観翁さんがおっしゃっていた 『 俺に胸ポン 』 って、言う? 」
だーりん: 「 ううーん、言わないなあ 」

 無粋なカップル、いっちょあがり~っ!

だーりん: 「 でも、もしかしたら親の世代なら言うのかも 」

 家に帰って聞いてみました。

ちかぞう母: 「 言わない 」
だーりん母: 「 言わない 」

 無粋なご両家、いっちょあがり~っ!

( だーりんママ、こんな嫁でスミマセン ・・・ )

 でも、イヤホンガイドの解説が面白いと舞台の進行に関係なく 「 フフッ 」 と笑いが漏れたりする客席が静かだったところを見ると ・・・ みなさん、きっと、

「 ああ、俺に胸ポンね 」

 くらいに思っていたのかもしれません。

 これから、ちかぞうも使います。俺に胸ポン!

 それで 「 粋な人 」 になるんだあ。イヤなってみせます、胸ポンで :) 。


観劇追メモ:
 『 助六由縁江戸桜 』 は、助六 ( 実は曽我五郎 ) が源氏の重宝である名刀・友切丸を探す物語で、一幕2時間あまりの長丁場です。真面目一本やりでともすれば観ている方がヘトヘトになってしまうところ、合間に 「 コント 」 をはさんで飽きさせないあたりはさすが江戸の大衆芸能! ネタばれになってしまうので詳細は控えますが、今回の小道具は 「 ○ぇボタン 」 と  「 サングラス & マフラー 」 。特に後者は、おめかしした奥様方が 「 んきゃ~っ 」 と黄色い声を発していました。ほんと誰ですか、歌舞伎が高尚だなんて言ったの :) 。

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June 15, 2004

六月大歌舞伎(夜の部)

2004年6月15日(火)


20040615.JPG


 観て参りました。市川海老蔵サマ襲名披露公演。

  『 助六由縁江戸桜 ( すけろくゆかりのえどざくら ) 』 。

 江戸きっての色男、それこそ 「 キセルの雨が降るよう 」 な助六サン。昔の遊女は身体は許しても想い人のほかは口付けを許さなかったのだそうで、ステージで両手いっぱいに 「 吸い付けタバコ 」 を持つさまは、まさに 「 モテる男 」 の証明であります。

 いやはやまったく、花魁たちの気持ちがわかるなあ。

 あんな色男がうろうろしていたら、キセルのひとつも投げたくなるよ。うん。

 助六の恋人、揚巻サンになることを切に希うちかぞうなのでありました。だーりんのこと、助六サンって呼んじゃおうかな。わたしのこと、揚巻って呼んでもらおっかな。

 いくらなんでも、こりゃウソですよ。だーりんはともかく、あたしゃどーせ 「 太巻 」 だもん。フン。いいですよ、コンビニで 「 助六弁当 」 買って自らを慰めるから。揚げおいなりさん太巻で  「 揚巻 」 だから 「 助六弁当 」 っていうんだって、だーりんから聞いて驚いた! 粋だなあ、コンビニ弁当も。

 助六のお話うんぬんは、あまりの美しさにアタマをやられすぎたのでまた今度。

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June 10, 2004

六月大歌舞伎(昼の部)Ⅱ

2004年6月10日(木)


 今日は感激冷めやらぬうちに ・・・ 6月8日(火)に観た 『 外郎売 ( ういろううり ) 』 のことをば。

 『 外郎売 』 のなかで外郎売が外郎 ( のど薬 ) を売り込む台詞まわしは、アナウンサーや俳優さんの滑舌の練習としてよく使われる世にもムズカシイものといわれております。

 負けず嫌いのちかぞう、よせばいいのに:) さっそく今回の外郎売役・四代目尾上松緑 ( おのえしょうろく ) に挑戦してみました。

 さあ、みなさんもご一緒に!

「 拙者親方と申すは、お立合の中 ( うち ) に、御存じの方もござりましょうが、お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、青物町を登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋藤衛門只今は剃髪致して、円斉となのりまする。元朝より大晦日 ( おおつごもり ) まで、お手に入れまするこの薬は、昔ちんの国の唐人、外郎という人、わが朝へ来り、帝へ参内の折から、この薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒 ( いちりゅう ) ずつ、冠のすき間より取り出だす。依ってその名を帝より、とうちんこうと賜わる。即ち文字 ( もんじ ) には 「 頂き、透く、香 ( にお ) い 」 とかいて 「 とうちんこう 」 と申す。只今はこの薬、殊の外世上に弘まり、方々に似看板を出し、イヤ、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平仮名をもって 「 ういろう 」 と記せしは親方円斉ばかり。もしやお立合の中 ( うち ) に、熱海か塔の沢へ湯治にお出でなさるるか、又は伊勢御参宮の折からは、必ずお門違いなされまするな。お登りならば右の方、お下りなされば左側、八方が八つの棟、表が三つ棟玉堂造り、破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、系図正しき薬でござる。

 イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存知ない方には、正身の胡椒の丸呑 ( まるのみ ) 、白河夜船、さらば一粒 ( いちりゅう ) 食べかけて、その気見合いをお目にかけましょう。先ずこの薬をかように一粒 ( いちりゅう ) 舌の上にのせまして、腹内へ納めますると、イヤどうも云えぬは、胃、心、肺、肝がすこやかになりて、薫風咽 ( のど ) より来り、口中微涼を生ずるが如し。魚鳥 ( ぎょちょう ) 、茸 ( きのこ ) 、麺類の食合わせ、其の他、万病速効ある事神の如し。さて、この薬、第一の奇妙には、舌のまわることが、銭ゴマがはだしで逃げる。ひょっと舌がまわり出すと、矢も盾もたまらぬじゃ。

 そりゃそりゃ、そらそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。アワヤ咽、さたらな舌に、カ牙 ( げ ) サ歯音 ( しおん ) 、ハマの二つは唇の軽重、開合さわやかに、あかさたなはまやらわ、おこそのとほもよろを、一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ、盆まめ、盆米、盆ごほう、摘蓼、摘豆、つみ山椒、書写山の社僧正、粉米 ( こごめ ) のなまがみ、粉米のなまがみ、こん粉米の小生がみ、繻子ひじゅす、繻子、繻珍、親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親かへい子かへい、子かへい親かへい、ふる栗の木の古切口。雨合羽か、番合羽か、貴様のきゃはんも皮脚絆、我等がきゃはんも皮脚絆、しっかわ袴のしっぽころびを、三針 ( みはり ) はりながにちょと縫うて、ぬうてちょとぶんだせ、かわら撫子、野石竹。のら如来、のら如来、三 ( み ) のら如来に六 ( む ) のら如来。一寸 ( ちょっと ) 先のお小仏におけつまずきゃるな、細溝 ( ほそどぶ ) にどじょにょろり。京のなま鱈奈良なま学鰹 ( まながつお ) 、ちょと四、五貫目、お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、青竹茶筅でお茶ちゃっと立ちゃ。

 来るわ来るわ何が来る、高野の山のおこけら小僧。狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。武具、馬具、ぶぐ、ばぐ、三ぶぐばぐ、合わせて武具、馬具、六ぶぐばぐ。菊、栗、きく、くり、三菊栗、合わせて菊、栗、六菊栗。麦、ごみ、むぎ、ごみ、三むぎごみ、合わせてむぎ、ごみ、六むぎごみ。あの長押の長薙刀は、誰 ( た ) が長薙刀ぞ。向こうの胡麻がらは、荏のごまがらか、真ごまがらか、あれこそほんの真胡麻殻。がらぴい、がらぴい風車、おきゃがれこぼし、おきゃがれ小法師 ( こぼし ) 、ゆんべもこぼして又こぼした。たあぷぽぽ、たあぷぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一丁だこ、落ちたら似て食お、煮ても焼いても食われぬものは、五徳、鉄きゅう、かな熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎きす、中にも、東寺の羅生門には、茨城童子がうで栗五合つかんでおむしゃる、かの頼光のひざもと去らず。

 鮒、きんかん、椎茸、定めて後段な、そば切り、そうめん、うどんか、愚鈍な小新発地 ( こしんぼち ) 。小棚の、小下の、小桶に、こ味噌が、こ有るぞ、小杓子、こ持って、こすくって、こよこせ、おっと合点だ、心得たんぼの川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は、走って行けば、やいとを摺りむく、三里ばかりか、藤沢、平塚、大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原とうちん香、隠れござらぬ貴賎群衆 ( ぐんじゅ ) の花のお江戸の花ういろう、あれあの花を見てお心をおやわらぎやという。産子 ( うぶこ ) 、這子 ( はうこ ) に至るまで、この外郎の御評判、ご存じないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに、臼、杵、すりばち、ばちばちぐゎらぐゎらぐゎらと、羽目を弛 ( はず ) して今日 ( こんにち ) お出でのいずれも様に、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っぱり、東方世界の薬の元〆、薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って、ういろうは、いらっしゃりませぬか。 」


 言えました?

 やってみて初めてわかる、梨園育ちの大きさとでも申しましょうか:) これをよどむことなく一気に言い立てるのですから、松緑さんすごスギです。

 わたしなんて、コレだけ打つのに45分もかかる有様ですもの ・・・・・・ 完敗でした。

 松緑さんの声、よく通るから好きです。カラオケに一緒に行ってみたいです。もちろん、野望です。

観劇追メモ:
 なにはともあれ長台詞がお楽しみの 『 外郎売 』 ですが、本筋は外郎売に変装した曽我五郎が親の仇・工藤祐経を狙ういわゆる 「 あだ討ち 」 ストーリー。ラストシーンで祐経が五郎に 「 寸志の餞 」 として狩場の地割りの絵図面を渡し、 「 巻狩の総奉行という大役を果たしたら、いつでも俺を討ちに来い 」 という心を示しちゃうあたり ・・・ 武士・祐経の漢 ( オトコ ) っぷりも見逃せないのデス。

観劇追メモ:
 『 外郎売 』 にはほかにもたくさんのバージョンがあるそうです。実をいえば上記のモノも、ところどころ実際に松緑さんが語っていたものとは異なります。あまりの早口に、とてもじゃないけれどもメモが取れませんでした。ぐっすん。

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June 08, 2004

六月大歌舞伎(昼の部)

2004年6月8日(火)


 行って参りました。市川海老蔵サマ襲名披露公演。

 カッコよかったです。

 瞬きするのも惜しい、とはまさにこのこと。

 なかでも一番、心臓がドッキンドッキンしたのは 『 春興鏡獅子 ( しゅんきょうかがみじし ) 』 の最後のキメです。


20040608.JPG


 ほんと、乱れた毛が寝起きみたいに 「 くしゃっ 」 としているのですもの ・・・ きゃ~っ !!!

 あの髪 ( ? ) を整える櫛になりたい。櫛に塗る松脂でもいい。あの毛に触れられたら、だーりんと家族と大事な人たちと、歌舞伎を観る楽しみとお茶と和菓子と中華料理とタイ料理のほかは何を失ってもいいなあ。

 歌舞伎が好きというと、なんだかとっても高尚なようにダイナミックな誤解をされますが、高尚というよりは公娼。もしくは好色。あふれんばかりの妄想で嗚呼、アナタのうえにキセルの雨を降らせたい。

 「 キセルの雨が降るようだ 」 の台詞もセクシーめろめろな 『 助六由縁江戸桜 ( すけろくゆかりのえどざくら ) 』 は、来週の火曜日に観て参りまーすっ!

観劇追メモ:
 『 口上 』 。左團次さんの 「 遊びも芸の肥やし 」 との励ましは、首を縦に振りかねるものが ・・・ 言い回しも先月とさして変わっていなかったですし。加えて菊五郎丈のギャグも先月の口上とまったく同じでした。がっくり。仁左衛門丈の 「 来月の大阪公演、ぜひ来てくださいねっ 」 という大御所のクセにえらいやる気満々な客引きと、カンクローちゃんの噺家さんみたいなあったかいエピソード披露に軍配、といったところデス。 『 外郎売 ( ういろううり ) 』 、 『 菅原伝授手習鑑 ( すがわらでんじゅてならいかがみ ) 寺子屋 』 については、また日を改めて。

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