2004年7月6日(火)
らくがん、というお菓子があります。
森八さんの長生殿、虎屋さんの推古、両口屋是清さんの二人静。鶴屋吉信さんの季節のお干菓子も素敵 ・・・ お気に入りをあげればキリがないかしらん。
何故に、今日はいきなり 「 らくがん 」 なのでしょう?
というのも昨日、お茶のお稽古帰りに先生に呼び止められまして。
「 この前、中国七弦琴のコンサートに行ったら 『 平沙落雁 』 というとっても美しい曲があって。落ちてゆく雁の様子がぱーっと目の前に広がるようで、感激したの 」
お稽古仲間のあいだでもわたしの中国好きは知られているところなので、こういったお話はたまにあるのです。
そして先生が続けておっしゃるには。
「 ところでね、お菓子のらくがんってどうして落雁っていうのかしら。不思議に思ってしまって。ちかぞうさん、ご存じ? 」
いえいえもちろん、知るはずもなく。
そんなワケで調べてみました、らくがんの謂れ。
★ らくがんとは?:
中国元代の 「 ハルウェー ( 哈耳尾 ) 」 という回教徒の食べ物が中原に伝わり、明代には 「 軟落甘 ( なんらくかん ) 」 という菓子になったといわれる。日本にもたらされたのは室町時代と考えられ 「 軟落甘 」 が 「 らくがん 」 に転じたとされる。
★ ではナゼ落雁?:
往時、らくがんは木枠のなかに胡麻をまき、その上に砂糖と穀物の粉 ( もち米など ) を練った生地を入れて押し固めて作っていた。できあがりを枠から逆さにあけたときの景色が白い生地の上に胡麻が転々と映え、近江八景の堅田落雁の情景に似ていたことから 「 落雁 」 と称されるようになった。
( これには諸説あり。後陽成天皇が献上されたらくがんを気に入り 「 白山の雪より高き菓子の名は四方の千里に落つる雁かな 」 と詠んだから、という説もある )
★ 近江八景? 堅田落雁?:
中国北宋の頃に成立した画題 「 瀟湘八景 」 に倣い、琵琶湖周辺の8つの風景を描いたもの。瀟湘八景とは中国湖南省にある洞庭湖の南、 瀟水と湘水という2つの川の流れるあたりの情景を四季、四時によって8つ選び取ったものである。
堅田落雁とは近江八景のひとつで、干潟に舞い降りてくる雁のようすを描いたもの。、瀟湘八景のうち、平沙落雁に倣ったものである。
わーおっ!
そうなのです、つながったのです。先生がコンサートで聴いたという 「 平沙落雁 」 も、瀟湘八景に題材を求めたものでしょう? 和菓子と七弦琴の調べが、まさかこんな風につながっているだなんて。
小さな小さな砂糖菓子に秘められた物語。夏の宵に古琴に耳を傾けながら、ほろ~りとろける甘さに身をまかせてみたくなりました。
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