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May 07, 2010

『貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告』

2010年5月7日(金)


 知人に薦められて、ずーっと気になっていた、

 『貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告』

 (著:阿古智子/新潮社/※上記リンクはamazon)

 を、少し前にようやく、遅ればせながら読み終えました。

 中国格差社会の闇に寄り添い、その現実をつぶさに描きながらも、いわゆる反中色を感じないのは、大陸の友人たちを想う心に偽りがないから、なのでしょうか。ところどころ論拠として、現地マスコミの発表したデータを引用していて、もしかしたらその信憑性は確認してあるのかもしれないけれども、そこだけ少し弱いかな、と感じたほかは、深く静かな使命感と、それに突き動かされて北へ南へ東へ西へ足を運ぶ姿勢に、ただただ頭の下がる思いで拝読しました。

 頁を繰ってゆくと、日本の報道でもしばしば取り上げられる、中国戸籍制度の問題がリアルに伝わってきます。この間の全人代(全国人民代表大会)の際に、中国の新聞13社が戸籍制度改革についての共同社説(原文: http://finance.baidu.com/2010-03-01/122802005.html )を一斉に発表して物議をかもしましたが、そこで提起された問題が如何に大きく、その叫びが如何に切実なものなのか。この本が、その理解を進めるよき参考書であることは間違いありません。

 筆者は 「おわりに」 において、

 「本書の読者には、中国の厳しい現実を『対岸の火事』としてではなく、『隣国からの警告』として受け止めていただければ幸いである」

 と述べておられますが、ますます格差が広がりつつある日本で、この警告は日に日にその重みを増しているのかもしれません。また言わずもがな、のことではあるけれども、中国の “厳しい現実” が “対岸の火事” で済むほど、日本海はきっと、すでに広くもなければ深くもないのです。中国だけ、もしくは日本だけに関心を向けているのではないからこそ却って双方が鏡のように照らし合い、両国がこれからも “貧者を喰ら” い続けたとしたらたどり着くであろう歪(いびつ)な世界を、映し出しているようにも感じました。

 阿古智子さん、どうもありがとう。次回作も、待ってます。

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